高吸湿発熱繊維 モイスケア®
モイスケア®の性能
モイスケアは、綿、ナイロンの約7倍という高い吸湿性を備え、また環境条件により吸放湿(呼吸)を長期的に繰り返し、吸湿時には吸着熱を発生するという、ユニークな性能を持ったアクリレート系繊維です。
- 吸湿性
「モイスケア®」の吸湿性能は、ウールの2.5倍、コットンの5倍以上あり、既存の繊維の中では最高レベルの値を示します。
- 吸放湿性
モイスケア®の吸放湿性能は非常に高く、下のグラフのように、雰囲気の変化により、吸湿と放湿を繰り返します。すなわち調湿作用にすぐれており、調湿素材として使用できます。
- 吸湿発熱性
「モイスケア®」の「吸湿」「熱交換」システム
吸湿発熱量
C-80熱量計を用いて「モイスケア®」、羊毛、ダウン羽毛の水分吸着熱を、25℃、RH80.5%の条件で測定した。その結果、下記のとおりの結果が得られた。
試料 | 吸湿率(wt%) | 水1g当り吸着熱 (発熱)(J/g) |
乾燥繊維1g当り吸着熱 (発熱)(J/g) |
---|---|---|---|
羊毛 | 17.3 | 2784.6 | 482.2 |
ダウン羽毛 | 13.9 | 2822.4 | 391.4 |
モイスケア®原綿 | 50.8 | 2851.8 | 1449.0 |
測定した3者を比較すると、水1g当りの吸着熱は繊維の種類によらずほぼ同じ値です。
一方、乾燥繊維1g当りの吸着熱は、吸湿率とおおむね相関関係があります。すなわち吸湿率の高いものは、乾燥繊維1g当りの吸着熱も大きく、「モイスケア®」原綿はウールの約3倍の吸湿発熱性能があります。
その他の性能
- 消臭性
690ppm(500ml)のアンモニアを1gの「モイスケア」で10分後ゼロにできます。
- 安全性
急性毒性試験(LD50)、変異原性試験(Amesテスト)、皮膚障害試験(パッチテスト)により、すぐれた安全性を確認しております。
吸湿・発熱実施例
- モイスケア/綿混スムース編地と綿100%スムース編地の吸湿・発熱特性の評価結果
測定装置: 東洋紡(株)総合研究所
快適性工学ラボ 発汗シミュレータモデル(スキンモデル)
モイスケア/使用スムースと綿100%品の衣服内温度変化の比較
モイスケアの方は綿100%品と比べ最高約2℃温度が高くなる傾向が見られます。
モイスケア/使用スムースと綿100%品の衣服内湿度変化の比較
- くつ下の使用例
試験方法
- 測定環境 22℃、90%RH
- 吸湿発熱におけるサーモグラフィー観察
- 試料は絶乾燥状態にする。
- (1)の試料を22℃、90%RHの環境下に放置し、吸湿発熱状態が最高に達した時の靴下表面温度をサーモグラフィー(測定波長8~13μm 日本電気三栄製)で観察した。
- 記載の製品のご使用にあたっては、お客様の用途、使用目的、加工条件等に適合するかどうか十分にご確認下さい。
- 記載のデータは参考値であり、あらゆる使われ方に関して、必ずしも品質規格や安全性を保証するものではありません。
標準物性
- デシテックス×繊維長:4.4dtex(4.0d)×50mm, 2.4dtex(2.2d)×38mm
- 吸湿性:吸湿率41%(20℃, RH65%)
- 吸湿発熱量:1449J/g(25℃, RH80.5%)
- 消臭性:10分後アンモニア検出せず(690ppm 500ml/g)
特徴
吸放湿性 | 吸湿性、放湿性にすぐれています。 |
---|---|
吸湿発熱性 | 湿気を繊維内に吸着する時に熱を発生(吸着熱)します。その発熱量はウールの約3倍です。 |
消臭性 | アンモニア、アミン等の塩基性の悪臭を消臭します。 |
加工性 | 一般の繊維加工機で加工できます。 |
用途例
- 寝具・防寒衣料の中綿
- 各種空調フィルター
- 畳、建材等の調湿材
※本資料に示した測定値は代表例を示したものであり、保証値ではありません。